ユニオン・ルネッサンス

2009年10月30日(金曜日)

人のために、社会のために、そして未来のために―未来フォーラム

資生堂労働組合の赤塚委員長が代表を務める労働組合のネットワーク組織「未来フォーラム」では、単組の中だけに目を向けがちなこれまでの組合活動とは一線を画した、画期的な取り組みがされています。業種、産別労働組合の垣根を越えて参加されているメンバーの皆さんから、「未来フォーラム」のエネルギー溢れる取り組みと、未来にかける熱い想いを語っていただきました。

(聞き手:仕事と暮らしの研究所 代表 鹿野和彦)

資生堂労働組合中央執行委員長 赤塚 一さん資生堂労働組合 中央執行委員長 赤塚 一さん

セイコーエプソン労働組合執行委員長 袖山 和彦さんセイコーエプソン労働組合執行委員長 袖山 和彦さん
アスモ労働組合副執行委員長 水野 雅通さん\\アスモ労働組合副執行委員長 水野 雅通さん
資生堂労働組合中央執行委員 石塚 幸子さん\\資生堂労働組合中央執行委員 石塚 幸子さん

組合相互で協働し、それぞれの想いを実現する組織へ
鹿野:業種、産別にこだわらないネットワークが魅力の未来フォーラムについて、結成のきっかけと活動のテーマを教えてください。

赤塚:未来フォーラムは、主に企業別に組織されてきた日本の労働組合ではなかなか形成することができなかった活動を軸とした異業種の単組によるネットワークを作り、ひとつの企業内組合ではできない組合相互の協働を実現するために結成しました。業種の垣根を越えて集まった単組やメンバーが中心となり、友好労組はもとより、地域、学生、主婦、さらには社会から共感される活動をめざしています。まず知っていただきたいことは、未来フォーラムは組織そのものより、そこに集まってくるメンバーや単組の魅力によって、組織が魅力的で輝いていること。「ここに来れば何かをしてくれる、いればいい」という受身や付き合い程度の関わりではなく、自立的に「課題意思を持っている。ヒントを掴んで帰り、自労組の活動に活かしたい」人が集まり、本気、本音で話し合いお互いの長所を積極的に吸収できる関係を構築していこうと思っています。

鹿野:確かにこれまで、単組同士の横断的なネットワークはありませんでしたね。実際の活動には、どのようなものがあるのでしょうか。

赤塚:たくさんありますが、まず3つの柱のひとつめに「車座研究会」があります。これは、毎月一度、組合の本質的なテーマである「労働組合のビジョン」「人材育成」「雇用」「組織」などについて、車座になって議論するもので、一番のメリットは、参加しているメンバー同士の掘り下げた議論によって労組の長所を学べること。例えば、自労組で新しい活動を始めたいと思ったときに、自分たちの力だけで1からスタートをするにはとても多くのエネルギーを必要としますが、その活動を得意としている組合があれば、そこから教えてもらう、または参加させてもらうことで、ノウハウを学ぶことができます。さらに、ふたつめの柱として、役員だけではなく組合員がコミュニケーションを深めることや、次世代への「人づくり」を目的とした「未来フォーラムオリジナル企画」があります。9月には、3つの労働組合合同で約90名の参加者による「青春キャンプ」を行いました。3つ目の柱、それぞれの単組が行っているのセミナーや活動をオープンにしてもらい、組合員同士の交流支援をする「単組オープン企画」「単組間交流」にも力を入れています。

産別、業種の垣根を超えた可能性を信じて

鹿野:なかなか精力的な活動をされているようですね。メンバーの皆さんから「未来フォーラム」に参加したきっかけを教えていただけますか?

袖山:自分の組合だけでは知恵や実行力が足りず、足を踏み入れられなったことでも、他の単組と協働して実現できるという可能性を「未来フォーラム」に感じたことが、参加のきっかけです。自立した仲間が集まって切磋琢磨していければいいですね。

水野:僕は、20歳から青年婦人部として労働組合に関わりながら、人とのふれあいには大きな価値があるということを肌で感じてきました。しかし、昨今の社会ではそれが希薄になっていると感じます。そんな状況だからこそ、労働組合がふれあいの場を設け、価値観を共有する場を作らなければならない。そう考えていたときに、赤塚さんに声を掛けていただき、参加することになりました。「未来フォーラム」で想いを実現できればいいと思います。

石塚:私は事務局の任に就いてから数ヶ月しかたっていませんが、車座研究会やオリジナル企画の「青春キャンプ」に参加しながら色々な気づきを得たり、出会う人から元気をいただいています。未来フォーラムの活動を通じて、自分の組合内ではなかなか見えないこと(課題や可能性)をしっかり吸収して、その発見を自分たちの組合に持ち帰り、発信できればと思います。

めざすのは、問題に真っ向から向き合う姿勢

赤塚これからの未来フォーラムは、労働組合が目を向けなければならない本質的な課題に真正面から取り組んでいきたいと思います。というのも、先ほどの水野さんの話にあったように、会社も、労働組合も、それぞれ課題が見えているはずなのに、向き合わない、または先送りにしているように感じるからです。問題を避けているうちはいつまでも本質的な課題が残り、いつかは課題すら感じなくなる。これでは社会への影響力どころか、労働組合そのもの存在が懸念されます。現在、未来フォーラムに加盟している労組は4つ。組織の拡大を急いで進めることよりも、集まった組合一つひとつの魅力が大きなものになることを先決と考えています。焦らず、着実に友好関係を築きながら進めていきたいと思います。未来フォーラムでは、単組を超える活動を軸とした業種をこだわらない、組織ありきの考え方でなく、何よりも単組を大切にした活動を進めていきます。労働組合の存在感が薄れ、組合の姿そのものが見えなくなっていく今、労働組合が働くものの代表といえるのかということを自らに問いかけながら、ネットワークを最大限に活用していければと思います。

鹿野:組合組織によっては、組織の内しか見ていない、見えていないと感じることもありますね。これからは、組合員のためだけの閉ざされた活動をするのではなく、社会に向けて発信するパワーも必要です。

赤塚そうですね。やりたいこと、やるべきことはたくさんありますが、自分たちらしく情熱のある活動を展開していきたいと思っています。

今回掲載しきれなかった、「未来フォーラム」に参加するそれぞれの組合の活動は、次回以降ご紹介します。

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